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医学的見地から見た温泉の効用





  • 前回「医学的見地から見た温泉の効用」で説明したとおり、温泉療法による効果は、 入浴によって得られるものだけにとどまらず、気候、物理的、心理的変化の誘因など総合的なものです。 そして温泉を活用した医療では、これらの総合的効果のエビデンス(科学的知見)が求められます。  
    こうしたエビデンスは、薬物療法や外科療法といった先進医療と温泉療法をそれぞれ別物として考えず、 互いに補足しあう治療法ととらえた試みとして、数多く報告されています。  
    日本における温泉医療の基幹学会として、77年もの歴史を持つ日本温泉気候物理医学会には、毎年多くの学術報告が集まります。 ここ数年で発表された学術報告をみても(左上表)、実に様々な疾患に温泉療法が活用されていることがわかります。




    現代医学では治癒が難しい生活習慣病である糖尿病に関しても、古くから温泉療法による研究が進んでいます。 糖尿病の温泉療法では、食事療法、運動療法、温泉浴、様々な物理・温熱療法や薬物療法などを組み合わせて行います。  
    糖尿病治療における温泉浴には、治療の基本となる食事療法、運動療法や血糖降下剤などで生じる体調のひずみを、 より自然な形で是正する効果があります。さらに、早期の糖尿病であれば、薬物を使用することなく温泉療法だけでもよい効果が得られ、 長期的なコントロールも可能であることがわかっています。



    重篤な気管支ぜんそくの場合は、長期的に薬剤を使用しているケースが多く、その副作用への対処が必要となります。 ここで大切なのは、ぜんそくをもたらす局所(気管支)の病態改善と同時に、全身と精神活動の状態を含めた総合的な症状改善を行うことです。  
    薬物療法は局所の病態改善を目的としており、温泉療法は、気道の状態をふくめ全身状態の改善を目的としています。 気道や気道粘膜を正常な状態に戻し、呼吸筋を強化し、自律神経を安定させることでリラックス作用をもたらし、副腎皮質機能も改善させる温泉療法は、 対症療法的な薬物療法と比べてより根本的な治療と言えるでしょう。  
    このような治療が可能であることから、特に重症ぜんそく患者にとって、温泉療法は非常に有効な治療法とされています。


  • 今回は、温泉療法が実際にどのように活用され、いかなる効果をもたらすかを簡単に説明しました。 ここで、糖尿病や気管支ぜんそくに対する温泉療法のアプローチには、一つの共通点があることに気づいた人も多いでしょう。 共通のアプローチとは、温泉療法が、体全体に作用し自然治癒力を引き出すことです。  
    温泉療法のエビデンスは、これからますます解明されていくことでしょう。そしてそれは、体全体を捉えての自然治癒力の科学的な解明に つながっていくのではないでしょうか。



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