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あとぴナビ/スペシャルインタビュー

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取材・文/平川友紀 、撮影/橋詰芳房
上田正樹



PROFILE
1969年和歌山県白浜町生まれ。 7年半に及ぶ自転車世界一周旅行を終え、2002 年末に帰国。旅の様子を綴った『行かずに死ねる か!』(実業之日本社/文庫版:幻冬舎)を出版し、 作家としての活動をスタート。以後、雑誌の連載や 単行本の出版などの文筆活動のほか、「夢」「相互 理解」「食」というテーマで講演活動も行なっている。 『いちばん危険なトイレといちばんの星空』、『洗面器 でヤギごはん』(実業之日本社)等の著作がある。
上田正樹
  • 訪問国数87カ国、走行距離9万5000 km、旅行期間7年半。 自転車での世界一周旅行を果たし、帰国後は旅行エッセイストとして活躍中の石田ゆうすけさん。 世界一周に旅行記の出版、さらには作家になるという夢を着実に実現に向けている石田さんのお話には、 充実した人生を送るコツと、夢を叶えるヒントがたくさん隠されていました。

  • 自転車旅行が好きなんです。自力 でペダルを漕いで行くっていう のもいいし、風や空気をじかに 感じられるのが気持ちよくて」 そう話すのは、旅行エッセイストの石田 ゆうすけさん。1995年〜2002年に かけて7年半、一度も帰国せずに自転車 での世界一周旅行を達成し、旅行中のエ ピソードや心境の変化を、ストーリー仕立 てで書いて話題になった旅の本『行かずに 死ねるか!』の著者として知られ、現在は れなかったほどです。絶対に世界一周した いと思う反面、どこかで、自分には無理だ と思っていましたね」。
    ナッツクラッカー症候群(※注1)という腎 臓の病気を抱えていた石田さんには、体調 面の不安もありました。しかも、旅の直前 にはその病気が再発して血尿が止まらなく なってしまい、ますます不安が募ることに。 世界一周したい自分と、本当にできるのか と不安な自分、その間で揺れながらも、い よいよ目標額が貯まったときには「やらな いで後悔するのだけは嫌だ」と決心し、辞 表を提出しました。そしてその瞬間、石田さ んの世界は「パッと変わった」のだそうです。 「『ああ、これで俺の人生は決まった』って腹 が括れて、そしたら急に自分の前方に道が 伸びていきました」会社を辞めて2週間後、両親には旅への 熱い想いを込めた手紙を書いて説得し、石 田さんは多くの友人に見送られてヒーロー 気分で旅立ちました。ところが、飛行機の 窓から見えたアラスカの真っ暗で広大な森 を目の当たりにして、瞬く間に恐怖と後悔 を感じます。なんと、最初の町から出発す る決心がつくのに4日もかかったのだとか! 「いやぁ、まずいことを始めてしまったと思 って、つくづく自分のバカさ加減が嫌にな りました(笑)」。
    旅立ちの恐怖を振り切って走り始めてか 雑誌の連載に本の執筆、講演会と引っ張り だこの忙しい生活を送っています。
  • ● 世界一周やる? やらない?
  • 小学生のときに、自転車旅行中のサイク リストを見て憧れを抱き、自転車旅行へと 出かけるようになった石田さん。大学を1 年間休学して日本一周旅行に出かけ、その 旅を終えたときには「もっと知らない世界 を見たい」「次は世界一周」という思いが、 自然と浮かんできました。
    とはいっても、すぐに行動に移せたわけ ではありません。大学卒業後は、世界一周 の夢を胸に秘めながらも一旦就職します。 就職先は大企業。就業条件も社内の雰囲気 も良い、安定した仕事でした。 「スーツを脱いで自転車で世界を走るって いうのが、あまりにも遠い世界になってい ました。それに…実はものすごく怖がり なんですよ。布団の中で、世界一周に旅 立つ自分をリアルに考えると、怖くて眠れなかったほどです。絶対に世界一周した いと思う反面、どこかで、自分には無理だ と思っていましたね」。
    ナッツクラッカー症候群(※注1)という腎 臓の病気を抱えていた石田さんには、体調 面の不安もありました。しかも、旅の直前 にはその病気が再発して血尿が止まらなく なってしまい、ますます不安が募ることに。 世界一周したい自分と、本当にできるのか と不安な自分、その間で揺れながらも、い よいよ目標額が貯まったときには「やらな いで後悔するのだけは嫌だ」と決心し、辞 表を提出しました。そしてその瞬間、石田さ んの世界は「パッと変わった」のだそうです。 「『ああ、これで俺の人生は決まった』って腹 が括れて、そしたら急に自分の前方に道が 伸びていきました」
  • ● 旅の途中で得た、新たな「夢」
  • 上田正樹 会社を辞めて2週間後、両親には旅への 熱い想いを込めた手紙を書いて説得し、石 田さんは多くの友人に見送られてヒーロー 気分で旅立ちました。ところが、飛行機の 窓から見えたアラスカの真っ暗で広大な森 を目の当たりにして、瞬く間に恐怖と後悔 を感じます。なんと、最初の町から出発す る決心がつくのに4日もかかったのだとか! 「いやぁ、まずいことを始めてしまったと思 って、つくづく自分のバカさ加減が嫌にな りました(笑)」。 旅立ちの恐怖を振り切って走り始めてからは、日常からは想像もできないとてつも ないスケールの事件や経験のオンパレー ド。それはそれは「壮絶な」日々でした(石 田さんの世界一周旅行の様子は、 『行かずに 死ねるか』等の旅行記をぜひご一読くださ い)。 そして長い旅を続けるうち、石田さんの 内面に「旅の感動と生きている実感を文章 で伝えたい」という欲求が芽生えはじめま す。実は中学生の頃から小説を投稿したり、 漠然と作家になりたいと思っていましたが、 それは叶わない夢だろう と早々に諦めていまし た。ところが自転車をひ たすら漕いでいるうち に、夢を実現させる前か ら投げ出していた自分に 気づき、こう決心します。 「もともと自分は文章を 書くことが好きなんだか ら、好きなことを思いっ きりやろう!」。 それからというもの、旅でみたこと感じ たことをひたすらメモに残していきまし た。そしてロンドン滞在中に、ライター募 集をしていた日本語新聞に旅の最中から書 き出していた紀行文を持ち込み、みごと採 用。石田さんのコラムは新聞の名物コラム となり、5年間に渡って連載されました。 「自信もついたし、いい文章修行になりま した。それがあったから、帰ってすぐに出 版社廻りができて、なんとか本が出 せました。あのコラムがなかったら、 今の自分はなかったと思います」。 旅が終盤にさしかかった頃、気持ち はすでに「作家になる」という新たな 人生の旅に向かおうとしていました。

上田正樹

  • ● 「やるべきか、やめるべきか」なら、やって後悔!
  • 「僕は自由を得たくて旅を始めました。確 かに世界旅行は自由な行為だけど、気まま に好きな場所に向かうだけで本当に自由と いえるのか? 何か足りないもの があるんじゃないか? と思うよ うになって。そんなことを考えな がら走り続けているうちに、1つ の言葉が頭に浮かびました」。 石田さんの頭に浮かんだのは「挑 戦」という2文字。もちろん、自転 車で世界一周することも大きな挑 戦です。でもその挑戦に挑み旅を 続けるうちに、次の目標が必要で あることに石田さんは気づいたの ではないでしょうか? 
    「旅を続けるうちに、自分をとり まく社会との関わりについてもよく考え るようになりました。そして、本当の自由 を得るためには、社会との関わりも含めて 何かに向かって『挑戦』することが必要じゃ ないか、そして自分の挑戦は、それを文章 で表現していくことではないかと。
    そう思ったら急に胸が熱くなって、走る ペースも上がって、宿では小説も書くよう になりました。漠然と考えてるだけじゃ実現しないと思ったので、帰ったら半年以内 に本を出すという計画も立てました。韓国 から下関に着いて、家に帰る途中に大阪で パソコンを買って、旅が終わった次の日に はもう文章を書き始めたんです」 7年半にも渡る長い旅が終わったら、少 しは放心状態になってもいいようなもの。 「帰る頃には頭の中がそれ一色で、惚ける ヒマがありませんでした」と笑います。 「『やるべきか、やめるべきか』。旅の始まり から終わりまで、何度もこんな決断を迫ら れる場面がありました。そして、やめて後 悔するのなら、やって後悔するほうを選ぶ ようにしてきました。そのほうが後悔が少 ないし、そもそも後悔の質が違います。 だから『作家になる』という新たな夢に気づいたときも、すぐに行動に移せたのかも しれません。
    『作家』というのは、今の僕に とっては話にならないくらいおこがましい 言葉。これからは、世界旅行以上に困難な 旅が始まりますが、精進して執筆活動を続 けていきたいですね」。
    旅を続けるうちに、腎臓の病気もいつの 間にか治っていたという石田さん。そのバ イタリティーと熱意の秘訣を尋ねると、こ んな返事が返ってきました。
    「一番大事にしているのは、イメージする ことの力。自分が夢を叶えられたのは、夢 を実現するイメージを抱き続けて、具体化 するためにがむしゃらになれたから。自分 が熱中できる何かを見つけることで、今ま での自分を変えるきっかけをつかむことが できます。そうすれば、病気のほうから逃 げていってしまいますよ(笑)」。
プレゼント



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