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体内時計の調整で"かゆみ"を軽減する

  • 症状悪化には 体内時計が関与?
  • 時間帯によって症状に変化があるのはなぜでしょうか?
    研究チームは「症状が悪化する時間帯は体内時計と関係しているのではないか?」と考えました。
    体内時計とは、24時間周期で私たちの体に備わっているタイムスケジュールのようなもの。夜になると眠くなり、朝方に目が覚めて、日中活動的になるのは、私たちが体内時計のリズムに従っているからです。
    体内時計は「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子の働きによって時を刻んでいます。時計遺伝子は、約30兆個あると言われている人体の細胞すべてに存在します。例えば肝臓は、毎朝決まった時間に朝ごはんを食べれば、その時間に合わせて消化酵素を作ろうとします。皮膚の細胞であれば、昼間の活動的な時間帯は紫外線などの刺激を受けやすいので、日中はそれらに対抗するたんぱく質を作ります。夜になれば紫外線除けのたんぱく質は必要なくなるので、代わりに肌を保湿するヒアルロン酸などを出します。
    このように、体中の細胞はその働きに見合ったそれぞれのタイムスケジュールを持っていて、様々な時計遺伝子が正常に働き、体全体がうまくかみ合うことで、健康は維持されているのです。
  • 肥満細胞の活性化時計遺伝子に決められていた
  • 肥満細胞にももちろん時計遺伝子が備わっており、約24時間の周期性があります。研究チームは、肥満細胞には活発な時間帯と不活発な時間帯があり、それが時計遺伝子によって調整されていることをつきとめました。
    次の写真を見てください。上の写真は通常のマウス、下の写真は肥満細胞の時計遺伝子が壊れたマウス(体の他の時計遺伝子は正常)のPCA(Passive CutaneousAnaphylactic)反応を比較したものです。


    PCA反応とは、肥満細胞が活性化しアレルギー反応が強いかどうかを表す反応です。写真の青い斑点がPCA反応の強さを示し、斑点がはっきりと大きいほど肥満細胞が活性化していることになります(白い斑点は、反応を定量化するために強調したもの)。通常のマウス(写真上)では、PCA反応を行う時間によって(10時、16時、22時、4時)青い斑点の大きさが変化していることが分かります(各時間帯にPCA反応を行ったマウスが4匹ずついます)。10時と16時は斑点が大きく、肥満細胞が活発でアレルギー反応が強いことを示します。22時と4時になると斑点は小さくなり、肥満細胞がおとなしくなりアレルギー反応が弱くなっていることを示します。
    したがって通常のマウスには、昼間にアレルギー症状が強く、夜間はアレルギー症状が弱くなるという概日リズム(時計遺伝子によって制御された約24時間周期のリズム)があることが分かります。
    ここで「アレルギー症状が昼に強く夜に弱くなるのは逆では?」と思う人がいるかもしれません。これはマウスが夜行性のため、人間とは逆のリズムになるからです。
  • 時計遺伝子が壊れると症状は悪化の一途
  • 次に、肥満細胞の時計遺伝子が壊れたマウス(写真下)のPCA反応を見てみましょう。どの時間も斑点の大きさに変化がないことが分かります。こちらは時計遺伝子が機能しないため、概日リズムが現れずに1日中肥満細胞が活発でアレルギー反応が強い状態です。
    したがって、この実験の結論は次のようになるでしょう。マウスの肥満細胞は、夜間の活動時に不活発となり、日中の休息時には活発になる。人間の肥満細胞はその逆で、日中の活動時に不活発となり、夜間の休息時には活発になる。そして、このリズムを制御しているのが時計遺伝子なのです。


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